パニック障害

何の前兆もなく発作（パニック発作）が突然起き、それをきっかけに日常生活に支障をきたしている状態をパニック障害といいます。

なおパニック発作とは、同発作時に、動悸、息苦しさ、胸痛、吐き気などの症状がみられ、その最中は死ぬのではないかと思うほど苦しいものですが、時間にすると数分～30分程度で治まるようになります。また原因を突き止めようと、心電図や血液検査などをしても異常が認められることはありません。

ただ何らかの病気によるものではないにしても、このあまりにも苦しい状況に陥ってしまうパニック発作は、予期することができずいきなり発生するという特徴があります。そのため、いつ発作が起きるかわからないという不安に苛まれ（予期不安）、また助けを求められない状況（人混み、電車内など乗り物に乗車中 など）になることを恐れてしまい、それによって外出や通勤、通学もままならなくなります（広場恐怖）。このような状態になって、日常生活に影響が及ぶようになるとパニック障害と診断されます。

つまり、パニック発作が起きているだけで、予期不安や広場恐怖がみられなければ、パニック障害とは診断されません。多くの場合、医師が患者様の症状を見るなどして診断をつけますが、他疾患との鑑別のため心電図検査などを行うこともあります。

なお発症原因に関してですが、これまでは周囲の環境や心理的状態によって発症するとされてきましたが、最近になって脳の情報伝達物質の異常も関係していると考えられるようにもなりました。ただ完全に特定されたわけではありません。

治療については、薬物療法と認知行動療法（精神療法）を組み合わせていきます。薬物療法では、パニック発作を抑える目的として、抗うつ薬であるSSRIなどを使用していきます。認知行動療法では、不安症状が起きるような状況を設定して、その環境に慣れさせるための訓練などを行うようにします。