社交（会）不安障害

異常に不安な状態が高まってしまうなどして、日常生活に支障をきたしていると社交不安障害と診断されますが、同障害もパニック障害や強迫性障害と同様に不安障害のひとつです。

社会不安障害は、人からの注目を一身に受けるような場面で、恥をかきたくないなどの思いが強くなりすぎて、より強い不安や緊張を感じるようになります。そこから次第に発汗や震え、息苦しさなどの身体症状が現れるようになります。この一連の状態に苦痛を感じてしまい、やがてそのような場面（人前に立つ）を避けるようになって、日常生活に影響が及ぶようにうなるのです。このような状態になると治療が必要になります。

発症の原因については、恐怖症状を抑える働きがあるとされる神経伝達物質のセロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンの不足によって起きると考えられていますが、さらにこれまで人前で恥ずかしい思いをしたといった体験的要因をはじめ、性格的要因、遺伝的要因、環境的要因なども関係するのではないかといわれています。

なお社交不安障害は、主に2つのタイプに分類されます。ひとつは、不安、恐怖、緊張を感じてしまう状況が1つに限定される「限局型」、もうひとつは、ほとんどの状況でそれらを感じてしまう「全般型」です。なお後者の場合は、発症年齢が早いとされ、重症のケースであることが多いといわれています。診断をつけるのに最も有効なのが医師による問診で、検査等は行いません。

治療に関しては、認知行動療法として、人前での行動に慣れるためのトレーニングを行うことで、その場面に強い不安や緊張を感じさせなくする精神療法が有効です。また薬物療法として、セロトニンを増やすことを目的とした抗うつ薬や抗不安薬を使用した治療を行うこともあります。